第3回 道徳ナビ(続報) ヒキガエルとロバ
◆「ヒキガエルとロバ」の模擬授業より…
今回のナビ前半は、上垣Tによる模擬授業。上垣Tは、中心発問とその次の発問で、子どもたちにその資料を深め、資料の道徳的価値に迫る手法を考えて授業を行っているとのこと。
上垣Tの思い:
中心発問では、驚いたという意見は当然出る。まず、石が落ちたのは物理的に何かが当たって落ちたのではなく、心の揺れで落ちたことを押さえ考えていく。展開4では、たいていは遠く去りゆくロバの背中を見ながらどんなことをアドロフ達は思ったかと問うが、最後の発問で生命尊重に迫れないかと思い違う問いをした。
昨日5年生の自分のクラスでこの資料をした。昨日は、あの池田事件があった日で、命が奪われた日なので考えてほしいと思い取り扱った。最初にそのことを言うと子どもはそのことに引っ張られるので、通信の中で触れた。道徳通信は、29人分の全ての感想を載せている。中には、今回の授業が「わからなかった」という感想もあるがそれも載せている。このクラスになって1回目の授業からこういうような形式をとっている。もう少し深まりのある授業がしたいと思う。
今大学院に行って、終末の発問について研究をしている。終末の発問を工夫することで、子どもたちが変わるのではないかと思い取り組んでいる。
◆展開の様子: ヒキガエルとロバ 指導案(上垣T)
発問4:中心発問『石が足もとに静かにすべり落ちていった。どんな思いが石を落とさせたのだろう』と問う。
まず、「手に何かが当たったから石が落ちたの?」と問う。ここで石が落ちたのは、故意に何かがぶつかったのではなく、手から滑り落ちたという感じであることを押さた。
次に、「何かが当たって石を落ちたわけだはない。それでは何で?」と問う。
↓
・全く自分は予想していなかった展開だったから。驚いた。
・死なさなくていいものは死なさなくていい。命を無駄にしたらアカン。ロバなのにそんなことを思っているのかと思って。自分とは違う。ロバなのにすごい。
発問5:『くぼみの中のヒキガエルと、遠く去っていくロバの姿にアドルフたちは何を見ただろう。』と問う。
↓
・命の尊さ。命を持つものが互いに命を大切にする姿。
・醜いものは死ねという自分のちっぽけな心とロバの大きな心。ロバの方が自分より上。こいつにも命がある と感じた。命の大切さ輝き。
・ヒキガエルとロバを見ながら自分の心の小ささが情け無さを見た。
・ロバは衰えてしんどいのに、それで力を振り絞ってよけたのを見た。
・魅かれるのが面白いと思っている自分たち。そんな自分たちが情けないと思った。
・自分たちはヒキガエルが轢かれることを楽しみにしていた。何て汚い心を持っているのだ。